人と街とモノをツナゲル つながる図鑑

ひとの想い

【ちっごのひとびと】手足の指が、多くの人と違うかたちで 生まれてくる子どもたちがいます

 お母さん業界新聞地域版「ひなたぼっこ版」に、日々の子育てや左手全指欠損の次男(5 歳)のことなどを書いている智原美沙さん。

「左手の指がないことなんて障害でもなんでもないと思う私ですが、周りには他人の目を気にして苦しんでいるお母さんも少なくありません。そこで、もっとたくさんの人にその事実を知ってもらおうと同じように手足に障害を持つ子どもたちの親が集うSNSグループ「Hand&Foot」で絵本を出版することになりました」。

   

Q1.どんな子育てをしていますか?

2006 年に結婚、2007 年に長男陽(ひなた)を出産。同時に主人の転勤で東京から京都へ。それを機に私は退職。右も左もわからない土地で、はじめての子育てが始まりました。次男の滉(こう)を授かったのは、それから 5 年後のことです。

やんちゃな男子2 人の子育てで心がけているのは、子どもの気持ちに寄り添い、それを言葉にしていくこと。難しいけれど、いろいろと試している最中です。

Q2.滉くんの障害について教えてください。

次男は「左手全指欠損」で手首より先がありません。病名は「合指症、短指症」。助産師さんが取り上げ、抱っこさせてくれたときに左手が見えて「あれ、なんか 変?」と。右手の指は 5 本あったので、「こっちは指がないんだな~」と冷静に思ったのを覚えています。

実は、長男が生まれつき「肺動脈弁狭窄症」という心疾患で…。次男の妊娠中は心臓や内臓の心配ばかりしていて、まさか指がないなんて盲点! 全く気がつかなかったし、気にも留めていませんでした。

数十万人に 1 人の確率といわれる全指欠損。でも左手の指がないだけで内臓はいたって健康。正直、障害児を抱えてしまって…といった悲壮感はありません。

 

Q3.忘れられないエピソードはありますか?

保健所の4か月検診でのこと。内科検診でおじいちゃん先生が次男を見て一言。「お母さん、何か薬でも飲んだ?」。ビックリ!と同時に怒りを覚えました。

「薬害=障害」という古い考え方が、いまだに医者の中にあるということ。次男の全指欠損は原因不明で、産院でも染色体や遺伝子変異ではなく、「神様のいたず ら」としか言いようがないといわれています。忘れられない、何気ない、けれど傷ついた一言です。

もう一つのエピソード。生後 3 か月から保育園に通っていますが、3 歳児クラスのときの話です。ボタンかけができないと、みんな「せんせい、やってー」と言いにくるけれど、次男は黙々とやっていたらしく、いつのまにか一人でボタンがかけられるようになって いたそうです。要は、指があるないではなく、本人の負けず嫌いな性格とやる気次第だなと気づきました。

Q4.滉くんは障害をどう思っていますか?

本人は指がないことを「障害」ととらえていないと 思います。なぜなら私たちがそう思っていないから。次男の何が障害なのか? だって日常生活で困ることが何もないのですから。これから先「障害」が出てくる のかもしれませんが、結局それも社会のしくみや偏見など「社会の障害」です。

長男も、次男を「障害者」とは思ってないでしょうね。

「とにかくうるさいムカつく弟」としか思っていないと思います(笑)。

Q5.Hand&Foot で絵本を出すそうですね?

ネットで出会った浅原ゆきさんと、手術に関する情報交換をするうちに、「こういう情報を知りたいお母さんも多いのでは?」と、彼女が 4 年前につくったSNS が「Hand&Foot」です。

登録者数 404 家族。昨年NPO 法人Hand&Foot を設立、私も正会員です。主な活動は SNS の運営。入院や手術の話、周囲の反応やわが子の問いかけにどう答えるかなどさまざまな情報交換の場になっています。

出版の話は 2015 年、浅原さんの日記から始まりました。「もっとこういう人がいるんだよと、世の中に広めたい。お母さんが泣かずに読める明るい絵本がつ くりたい!」これに賛同した人が絵本製作チームをつくり、ストーリーを考えたり意見を出し合ったり…。

そんな中、ご縁が繋がりセンジュ出版さんと出会いました。絵本を読み、自信や安心感が持てるようになってほしいという親たちの願いが込められています。

事前登録(予約)者数、目標 1000 人のところ 500 人弱…。

ご協力いただける方はよろしくお願いします。

  • Hand&Foot では、生まれつき右手の指が3 本の女の子の物語を制作しています。事前登録は、公式サイト「出版日のお知らせ登録」をクリック!

はんどあんどふっと公式サイト

お母さん業界新聞・お母さん大学との出会い

お母さん大学には、福岡で開かれた「MJ(お母さん記者)講座」をきっかけに入学。次男のことを発信するため に出会ったんだ!と確信。昨年 7 月から地域版「ひなたぼっこ版」をつくっています。

子どもたちのことを書いていると、自然と涙が出てくることがあって、そういうときにお母さんを感じているのかなと思います。

ワーキングマザーだった頃の苦しみを分かち合ったり、次男のような子を持っているお母さんに「大丈夫!」と言ってあげたり…。私の経験が誰かの役に立てばうれしいです。

お母さん業界新聞は「お母さんの心」を伝える新聞。

岩田屋久留米店屋上ソライロ広場にも置いてあります。

お母さんはスゴイ!を伝えるお母さん大学
 

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